組織・研究分野
がん微小環境研究プログラム
Cancer Microenvironment Research Program

細胞機能統御研究分野
Division of Molecular Virology and Oncology

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スタッフ

教授
佐藤  博
Sato Hiroshi

准教授
滝野 隆久
Takino Takahisa

目的、研究課題、最近の主な成果

 正常細胞においてがん遺伝子,がん抑制遺伝子の変異が蓄積した結果としてがんが発生し,悪性化する。悪性化したがんは組織内へ浸潤し,遠隔臓器へ転移する。我々はがん化,悪性化そして転移性獲得の過程を分子レベルで明らかにすると共にその成果を診断・治療法へと応用することを目指している。
 がんの組織内への浸潤には組織・基底膜の破壊を伴う。我々は1994年にがん転移の鍵を握るタンパク分解酵素を 発見しMT1-MMPと命名した(Nature, 1994)。MT1-MMPは細胞浸潤のみならず増殖・運動などの調節にも重要な役割を果たしているとのデーターが蓄積しつつある。

上皮細胞のがん化に伴うMT1-MMPの発現と浸潤

上皮細胞のがん化に伴うMT1-MMPの発現と浸潤
正常上皮細胞株MDCKはがん遺伝子(erbB2)によりトランスフォームし,がん細胞の形態を示すとともにMT1-MMPを発現する。コラーゲンゲル内での培養では正常細胞は凝集して増殖するのに対してMT1-MMPを発現するがん化した細胞は浸潤性の増殖をする。MMP阻害剤BB94の添加によりコラーゲンゲル内での浸潤は抑制される。また,正常MDCK細胞はHGF添加によりコラーゲンゲル内で管空を形成する。この管空形成もMT1-MMPを阻害することにより完全に抑制される。

細胞運動とMT1-MMP

細胞運動とMT1-MMP
MT1-MMPを発現するHT1080細胞をコラーゲン上で培養するとパキシリンで可視化された細胞接着斑とアクチンの走行により細胞運動の状態が見える。BB94の添加によりMT1-MMPを阻害すると細胞接着班の局在が変化し,極性を喪失して細胞は静止状態となる。MT1-MMPは細胞接着斑のターンオーバーを促進することにより運動シグナルを増強している。