組織・研究分野
先進がんモデル共同研究センター

実験治療研究分野
Division of Experimental Therapeutics

 

 

スタッフ

武藤先生

リサーチ・プロフェッサー
武藤 誠
Taketo Makoto 

目的、研究課題、最近の主な成果

 

今日多くの固形がんの原発巣は外科的に切除できるので,がん治療を考える上で重要なことは転移の有効な予防・治療法を開発することである。この目的で,当研究分野では,細胞培養とマウスモデルを用いた実験的治療を通じて臨床応用可能な治療法の開発と評価を確立することを目指している。

 

上皮性のがんにおける,がん開始細胞(tumor initiating cells; がん幹細胞とも云う)は,一般に組織幹細胞と似た性質を持つが同一では無い。近年これらの幹細胞を効率よく培養することが可能になって来ている。(例,Miyoshi H et al., Science 338:108-113, 2012)

 

一方、手術で摘出された患者の腫瘍片を直接免疫不全のマウスに移植することで、ヒト腫瘍の性質を出来るだけ温存した実験系を確立し、これらのマウスを用いて化学療法薬の評価を行うことが可能になりつつある。

 

また,転移による再発を予測する確度の高い予後マーカーも見つかって来ている。(Sonoshita et al., Cancer Discovery 5:198-211, 2015)これらの方法を組み合わせて,特に予後の悪い,再発が予想される腫瘍の患者を対象に,治療薬レジメンを評価し,その分子機構を研究し,同時にその情報を直接患者に還元することをねらう。