共同利用・共同研究拠点

主な共同研究成果

ATMはRBによるDNMT1の安定化を介在する

ATM mediates pRB function to control DNMT1 protein stability and DNA methylation.
共同研究者

金沢大学がん進展制御研究所 髙橋 智聡 金沢大学がん進展制御研究所 山本 建一

発表論文

Mol. Cell Biol. 33:3113-3124, 2013

著者

Shamma A, Suzuki M, Hayashi, N, Kobayashi M, Sasaki N, Nishiuchi T, Doki Y, Okamoto T, Kohno S, Muranaka H, Kitajima S, Yamamoto K, Takahashi C.

要 旨

RBが発がん初期に不活性化することは、網膜芽細胞腫、骨肉腫、小細胞肺がんなどごく限られたがん腫においてのみ観察され、大半のがんでは、悪性進展過程における不活性化が専らである。それは、発がん初期のRB不活性化が、細胞死や細胞老化など、がん化の妨げになる細胞の挙動を誘導するからである。我々は、RB不活性化が細胞老化を起こすメカニズムを丹念に探索した。RB不活性化は、DNA損傷応答とTip60の活性化、および、RB-HDAC1-DNMT1複合体からのHDAC1離脱を誘導。次いで、Tip60がDNMT1のアセチル化を促進し、UHRF1 E3リガーゼの結合に始まる蛋白質分解を引き起こす。この現象は、INK4aのプロモーター領域でも起こり、よって、RBが不活性化した細胞では、同領域の低メチル化が観察された。一方、RBを欠損する細胞においてATMを同時欠損させると、DNMT1の安定化と機能亢進が起こり、INK4aのプロモーター領域は高度にメチル化され、細胞老化は誘導されなくなった。同様に、RBをヘテロ型欠損するマウスに生じる甲状腺腫瘍は、ATMの同時欠損によって高度に悪性転換した。RBとATMの協調機構を明らかにしただけでなく、DNA損傷応答がどのようにして細胞老化を誘導するのか、がん細胞のエピジェネティック異常はどのように進行するのかという根源的な問いにも答えた。


12


RBとATMがDNMT1を制御する RBが失われると、活性化したATMが、Tip60によるDNMT1のアセチル化を促進、E3リガーゼであるUHRF1が結合し、ユビキチン化とそれに続く蛋白質分解が進行する。RBのエピジェネティック制御機構の一端が明らかになった。この機構がInk4aやNogginを含むいくつかの遺伝子発現の制御に関わる事も判った。 (Mol. Cell Biol. 33:3113-3124, 2013より)