共同利用・共同研究拠点

主な共同研究成果

mTOR複合体1は、白血病幹細胞の自己複製ではなく、その分化・増殖に重要な役割を果たす

mTORC1 is essential for leukemia propagation but not stem cell self-renewal.
共同研究者

金沢大学がん進展制御研究所 平尾 敦 熊本大学発生医学研究センター 山村研一

発表論文

J Clin Invest. 122:2114-29, 2012

著者

Hoshii T, Tadokoro Y, Naka K, Ooshio T, Muraguchi T, Sugiyama N, Soga T, Araki K, Yamamura K, Hirao A.

要 旨

mTORは、様々な栄養を感知することにより活性化し、蛋白翻訳や様々な細胞内代謝を介して、がんの悪性化に寄与する。また、その阻害剤は、一部のがんで臨床的有用性が示されているが、がん幹細胞での役割は不明である。本研究では、急性骨髄性白血病モデルにおいて薬剤誘導的にRaptorを欠損させによりmTOR複合体1を失活させ、生理的意義について検討した。mTOR複合体1の活性が抑制された状態では、白血病細胞全体としてはその増殖、生存が著しく障害され、個体レベルでの白血病の発症は顕著に抑制されていた。しかし、白血病幹細胞集団への影響は限定的であり、Raptor遺伝子を再導入することにより、野生型と同様の白血病病態に復活することが判明した。つまり、治療という観点からは、mTOR複合体1を阻害した場合、白血病全体としては治療効果が見られるが、白血病幹細胞は残存し、再びmTOR複合体1の活性を獲得すると再発する可能性を示すものであった。本研究は、白血病幹細胞の栄養飢餓耐性や治療抵抗性に関する重要な知見であり、今後、そのメカニズムを知ることにより、白血病幹細胞の本態解明に迫ることが可能となると考えられた。


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白血病幹細胞とmTOR複合体1 急性骨髄性白血病モデルで、mTOR複合体1  (mTORC1) を失活させると、分化傾向を示す集団でアポトーシスが見られる。一方、未分化形質を持つ白血病細胞集団は維持され、再発の原因となる。 (Cancer Sci.104:977-82,2013より)