研究の概要
哺乳類MAPキナーゼ(MAPK)経路は、細胞の増殖・分化・死など細胞の様々な局面において重要な役割を担う細胞内シグナル伝達経路です。このシグナル伝達経路の異常は細胞のがん化と密接に関係しており、多くのMAPKシグナル伝達系分子が原がん遺伝子産物として報告されています。MAPK経路に関する研究は世界中で精力的に行われていますが、シグナル伝達経路間の相互作用を含むMAPKシグナル伝達系全体の制御機構や各シグナル伝達モジュールの生体内での機能についてはよく分かっていません。
本研究室では、私たちが同定した哺乳類MAPK経路の足場タンパク質JSAP1及びJLP(JSAP1ファミリーメンバー)を切り口として、シグナル伝達の特異性維持機構の解明、MAPKモジュールの生体内での機能解明、及びMAPK経路の時間的・空間的制御機構の解明を目指して研究を行っています。また足場タンパク質JSAP1, JLPは、MAPKシグナル伝達系以外においても重要な役割を担っていると考えられます。そこで、おもに遺伝子改変マウスを使って、足場タンパク質JSAP1, JLPの生体、特に脳神経系での役割解明に向けた研究にも取り組んでいます。