お知らせ
2023.11.21 がん研究早期体験プログラム『がん研EEP』プロモーションムービーができました。
2023.07.05 体験プログラムとセミナー授業編の参加者が決定しました。
2023.03.17 がん研 EEP2023 オープンしました!
がんは、2人に1人が患い、3人に1人の死因となる、人類最大の脅威です。人類は古代よりこの深刻な病気に立ち向かってきました。しかし、なぜ、正常な細胞ががん化するのか、がん細胞を殺すにはどうすればよいのか、まだまだわからないことばかりです。今後も多くの若い優秀な人材がこの研究に参加して、難題に取り組まなければ、がんの研究を発展させ、未来の医療を切り拓くことはできません。この度、金沢大学がん進展制御研究所では、WPIナノ生命科学研究所と共同で、 高校生を対象とした「がん研究早期体験プログラム(がん研究 Early Exposure Program)」を企画致しました。高校生に実際の研究の現場に足を運んでもらい、現役の研究者から研究内容やその意義に関する説明を受け、実験を見学・体験することを通して、がん研究に興味を持ってもらうプロジェクトです。本事業は、クラウドファンディング(2021年)により募った支援金、「和田哲(さとし)がん基金」、「未来のがん研究者を育てる基金」などを基に、高校生が、アカデミア・医療・産業界において活躍する研究者を志し、将来、がんの克服に貢献する人材へと育つことを応援する人材育成プロジェクトです。
開催日:2023年8月1日(火)~3日(木) 11:00~17:00(予定)
場所:金沢大学(角間キャンパス)がん進展制御研究所およびナノ生命科学研究所内 各研究室
対象:研究に興味がある高校生(主に、本事業に協力いただける高校を通じて対象者を募集します)
生物が生まれ、死んでいくまで。その間、細胞内では、遺伝子、代謝物、タンパク質、細胞小器官の構造や機能が、常にダイナミックに変化しています。これはナノスケール(10億分の1メートル程度)での生命現象です。
もう少し視野を広げてみると、細胞同士のシグナルのやり取り、さらには脳と肝臓のように異なる臓器の間で生じるコミュニケーションもまた、大事な役割を果たしていることがわかります。
ヒトのがん細胞が遠く離れた臓器へ転移すること(遠隔転移)は、まさに、メートル単位で生じる生命現象です。このように、生命やがんを本当に理解するためには、様々なスケール(マルチスケール)での解析が必要です。
研究者が専門について概要説明を行い、実験体験をサポートします。
体験日 | テーマ | 担当教員 |
---|---|---|
8月1日 | 1.胃がん・大腸がんをモデルで再現! ~がんの発生メカニズムを知ろう~ |
がん進展制御研究所 大島正伸 |
2.「がん」の幹細胞の集団をみてみよう! | がん進展制御研究所 後藤典子 | |
3.タンパク質の働く姿をリアルタイムで観察しよう! ~ゲノム編集の瞬間を可視化する~ |
ナノ生命科学研究所 柴田幹大 | |
8月2日 | 4.細胞のトランスフォーメーションを観る・測る | がん進展制御研究所 髙橋智聡 |
5.100万個の中のたった1個!幹細胞を集めてみよう! ~血液細胞が生まれる過程を再現する~ |
がん進展制御研究所 平尾敦 | |
6.がん細胞のシグナルを蛍光イメージングで可視化する | がん進展制御研究所 平田英周 | |
7.構造変化したタンパク質の姿と動きを見てみよう! 〜タンパク質ミスフォールディング〜 |
ナノ生命科学研究所 中山隆宏 | |
8月3日 | 8.がんはどのようにして転移するのか? ~がん転移の初期に起きるがん細胞の変化を観察する~ |
がん進展制御研究所 鈴木健之 |
9.プログラム細胞死を観察しよう | がん進展制御研究所 須田貴司 | |
10.百聞は一見に如かず! ~光を使ったイメージングで細胞の中を覗いてみよう~ |
ナノ生命科学研究所 新井敏 | |
11.世界最先端!生きた細胞の表面をなぞる 走査型プローブ顕微鏡とは |
ナノ生命科学研究所 渡邉信嗣 |
*詳細な内容は各テーマをクリックしてご覧ください。
日時:2023年8月4日(金) 13:20~16:50
場所:金沢大学(角間キャンパス)ナノ生命科学研究所
4階 Nano LSI Main Conference Room
参加者:30人程度・対面(オンライン配信あり)
この講演会では、研究所に所属する3名の研究者の方に、自身のキャリアパスを選ぶに至った経緯について紹介いただきます。大学進学や大学院での経験、研究者としてのキャリアを築くための工夫、将来の夢など、自由にお話いただきます。
(1)平田英周(がん進展制御研究所/ナノ生命科学研究所・准教授):医学部出身
(2)佐藤華江(ナノ生命科学研究所・特任准教授):理学部出身
(3)宮成悠介(ナノ生命科学研究所・准教授):薬学部出身
平田英周
(ひらた えいしゅう)
佐藤華江
(さとう はなえ)
宮成悠介
(みやなり ゆうすけ)
(1)『顕微鏡で病気を見る!『病理学』の最先端』
前田大地(まえだ だいち)
金沢大学 医薬保健研究域・医学系・分子細胞病理学・教授
皆さんは、癌を含む多くの病気の診断が、顕微鏡で観察した際の「見た目」で決められていることを知っていますか? 顕微鏡と言われると、理科の授業で植物や動物のプレパラートを見たことを思い出す人が多いかと思います。そうです、あれです。実際に病院では、患者さんの病気の部分から作成したプレパラートを病理医が見て、「こいつらは悪い(=癌だ)!」などと呟きながら診断をしています。1枚のプレパラートの中には何万個もの細胞が存在し、顕微鏡で見れば、それらの種類や形の違い、くっつき方、広がり方が一目瞭然です。今回は、ミクロの世界から得られる情報をもとに病気の成り立ちを考える『病理学』の最先端を紹介したいと思います。
(2)『細胞増殖因子 〜志のきっかけとバイオ創薬〜』
松本邦夫(まつもと くにお)
金沢大学 がん進展制御研究所/ナノ生命科学研究所・教授
皮膚の擦り傷・切傷や骨折に代表されるように、私たちの体は多かれ少なかれ自然治癒力ともいえる再生・修復力をもっています。ごく微量ながらも、強い生物活性を介して生体の再生・修復を担う生体物質が、「細胞増殖因子」と呼ばれる生理活性タンパク質です。私は理学系研究科(生物化学専攻)を修了した研究者で、細胞増殖因子の研究をしています。2001年に、大学の教員を務めながら、細胞増殖因子が病気の治療につながることを夢見て、創薬バイオベンチャーを起業しました。研究者であっても、あるいは研究者だからこそ、病気の診断や治療薬の開発を介して人に役立つことができます。
体験日 | テーマ | 担当教員 |
---|---|---|
8月1日 | 1.DNAやヌクレオソームの観察 | ナノ生命科学研究所 角野歩 |
2.100万個の中のたった1個!幹細胞を集めてみよう! | がん進展制御研究所 平尾敦 | |
3.プログラム細胞死を観察しよう | がん進展制御研究所 須田貴司 | |
8月2日 | 4.百聞は一見に如かず! ~バイオイメージングで細胞の中を覗いてみよう~ |
ナノ生命科学研究所 新井敏 |
5.探せ!がんの1塩基変異 | がん進展制御研究所 松本邦夫 | |
6.胃がん・大腸がんをモデルで再現! | がん進展制御研究所 大島正伸 | |
8月3日 | 7.構造変化したタンパク質の姿と動きを見てみよう! | ナノ生命科学研究所 中山隆宏 |
8.「がん」の幹細胞の集団をみてみよう | がん進展制御研究所 後藤典子 | |
9.がん細胞のシグナルを蛍光イメージングで可視化する | がん進展制御研究所 平田英周 | |
8月4日 | 10.世界最先端!生きた細胞の表面をなぞる走査型プローブ顕微鏡とは | ナノ生命科学研究所 渡辺信嗣 |
11.がんはどのようにして転移するのか? | がん進展制御研究所 鈴木健之 |
金沢大学医薬保健研究域医学系/がん進展制御研究所/ナノ生命科学研究所・矢野聖二
金沢大学ナノ生命科学研究所・柴田幹大
京都大学大学院医学研究科/ 理化学研究所計算科学研究センター・奥野恭史
*詳細は『がん研EEP2022報告書』をご覧ください(下記表紙画像をクリック)。
ご寄附一覧
和田哲がん基金
未来のがん研究者を育てる基金
クラウドファンディング(2021)による寄附者の皆さま(156名)
運用ポリシーおよび免責事項:本プログラムは、研究所が主体で進めるものであり、その実行にあたり、特定の企業、団体、個人から過度に影響を受けたり、不当に便宜供与を図るなどの不適切な事象が生じないよう細心の注意を払うことを運用ポリシーとし、ご協力いただく外部の団体・個人・企業の方にも、このポリシーを遵守いただくこととします。また、本運用ポリシーに則り、プログラムの運営や会計が適切に行われているか、定期的な監査を実施し検証します。なお、プログラムに関与する企業、団体、個人の本ポリシーから逸脱した行為によって生じるトラブルや損害に掛かる責任は負い兼ねます。