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セミナー・イベント
第84回日本癌学会学術総会 開催報告
2025年9月25日(木)〜27日(土)に金沢市の石川県立音楽堂、ホテル日航金沢、ANAクラウンプラザホテルを主会場に、第84回日本癌学会学術総会を開催しました。首都圏など大都市での開催が多い本学会が地方で開催されるのは珍しく、金沢での開催は1969年以来の2回目となります。前回(第28回)は学園紛争のさなかで、当時の金沢大学がん研究所 初代所長・岡本肇先生が会長を務め、機動隊に囲まれながらの開催だったと伝え聞いております。それから56年、今回は天候にも恵まれ、国内外から4,000人を超える参加者が金沢に集まり、熱気あふれる3日間となりました。最先端の研究発表に加えて、新たに実施した取り組みを含め、本学会を盛大に開催できましたことをご報告申し上げます。
【前日イベント:Run & Walk in Kanazawa 2025】
9月24日(水)、金沢城公園・新丸広場で、“Run & Walk in Kanazawa 2025”を開催しました。このイベントは、秋空の下、金沢城公園内の特設コース3kmをがん研究者とがん患者さんおよびご家族の皆様が一緒に楽しく健康的に走る(歩く)ことで、お互いの理解を深めることを目的としております。100名以上が参加し、お揃いのライトグリーンTシャツを着て、3kmのコースを駆け抜けたり、会話を楽しみながら歩いたりと、和やかな交流の時間となりました。
【岡本肇記念シンポジウム】
大会初日には、免疫賦括型抗がん剤の先駆となった溶血性連鎖球菌製剤OK432の発明で知られる金沢大学を代表するがん研究者である岡本肇先生を記念したシンポジウム「出口志向のアカデミア発創薬技術」を開催しました。冒頭では、小松大学長の山本博先生より「世界の金沢医学」と題して、金沢におけるがん研究の原点をご紹介いただきました。最後には、岡本先生のご子息である岡本宏先生から特別発言を頂戴し、金沢におけるがん研究の歩みを改めて共有する有意義な時間となりました。
【SSP10周年記念シンポジウム】
日本癌学会では、患者・家族と研究者の交流を促進するSurvivor-Scientist Program(SSP)を実施しており、今年で10周年になります。これを記念して、患者会・研究者・医療者の代表者による講演とパネルディスカッションを行い、協働しながらがん研究を推進することの意義と重要性を改めて確認する貴重な機会となりました。
【研究者のたまご・ひよこセッション】
本学会では、これまでも大学院生による発表は行われてきましたが、今回は新たに、研究室に所属する医学部学生による研究発表会を企画しました。聴衆の多くは地元高校生で、100名を超える参加がありました。高校生が本学会に正式に参加するのは初めての試みとなり、発表内容や進路についての活発な質疑応答が交わされました。登壇した医学生からも「大きな経験になりました」と好評を得ました。
その他、先端的な研究発表が多数あり、金沢駅前広場地下でのポスターセッションも大いに盛り上がりました。多くの方々のご支援とご尽力により、記憶に残る盛大な学術総会となりました。関係者およびご参加いただきましたすべての皆様に心より感謝申し上げます。
報告:腫瘍遺伝学研究分野 教授 大島 正伸






