組織・研究分野
がん微小環境研究プログラム
Cancer Microenvironment Research Program
腫瘍動態制御研究分野
Division of Tumor Dynamics and Regulation
スタッフ
准教授
酒井 克也
Sakai Katsuya
特任助教
YILMAZ Neval
（ナノ研籍）
目的、研究課題、最近の主な成果
HGF（hepatocyte growth factor）はMET受容体活性化を介して，細胞増殖，ダイナミックな3-D上皮管腔形成や生存促進活性を発揮する。これにより，肝臓や神経系を含む組織において，傷害・病態に対する再生・修復を担う一方，MET受容体活性化を介した生物活性は，がん転移といったがん細胞のダイナミック動態，分子標的薬に対するがん細胞の薬剤耐性につながる。私達は異分野の革新的技術と連携し，がん微小環境の研究，難治性疾患の診断・治療の基礎研究を進めてきた。現在，1）HGF-MET受容体系の活性化を介したがん転移ニッチ・がん微小環境形成機構の研究，2）環状ペプチドや革新タンパク質工学技術による高性能MET受容体活性化タンパク質や微小HGF阻害タンパク質の創成と疾患治療・イメージング診断への応用，3）高速AFM（原子間力顕微鏡）や構造生物学と連携したMET受容体活性化の構造解明を進めている。
図1. HGF-MET系の生理機能: 組織再生とがん転移・薬剤耐性
HGFはMET受容体を介して組織の3-D形態形成や再生を担う一方（右），がん組織においてはがん細胞の浸潤・転移や薬剤耐性を促す（左）。HGF-MET系促進は再生治療につながる一方，HGF阻害は転移・薬剤耐性阻害の診断・治療につながる。