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セミナー・イベント
2026年2月4日(水)~5日(木)、基礎生物学研究所(愛知県岡崎市)で開催された「生命科学者のためのインフォマティクス入門」(基礎生物学研究所ゲノムインフォマティクス・トレーニングコース2026春)に、オンサイト(現地)参加しました。本研修の参加にあたり、『学際領域展開ハブ形成プログラム(健康寿命科学)』の支援をいただきました。
本研修は、バイオインフォマティクスを専門としない生命科学研究者を主な対象とし、インフォマティクスの基礎的な技術と思考法を習得することを目的としています。2日間の集中講義・実習を通じて、データ解析の共通基盤となるUNIX操作、統計解析パッケージRの基本、統計学の基礎、バイオインフォマティクスで用いられるデータフォーマットや基本ツールの扱い方を体系的に学びました。wet研究者が自身の研究課題にインフォマティクスを直接活用できるようにすることを重視した内容で、実践志向の入門コースである点が特徴的でした。
研修会場である基礎生物学研究所に到着した際、まず目を引いたのが、ノーベル生理学・医学賞受賞者の大隅良典博士(同研究所名誉教授)の業績をたたえる記念モニュメントでした。このモニュメントは、博士が解明したオートファジー(細胞の自食作用)をモチーフとしたもので、酵母細胞におけるオートファゴソーム形成を象徴的に表現した芸術的な造形です。研究所の敷地内に設置されたこの記念碑を前に、基礎生物学の重要性と大隅博士の偉大な貢献を改めて実感し、今回の研修参加への意欲が一層高まりました。

大隅良典博士のモニュメント
2日間の研修を通じて、UNIXの基礎的なコマンドライン操作やファイル管理、テキスト処理、パイプ・リダイレクトの活用方法を、演習を交えて学ぶとともに、RとRStudioの基本操作、データフレームの扱い、統計関数や可視化の実践的な使い方を習得しました。さらに、記述統計や仮説検定、p値、複数比較といったゲノム解析で重要となる統計概念を復習し、FASTQやSAM/BAM、BED、GFFなどのバイオインフォマティクス特有のデータ形式や、samtools・bedtoolsといった基本ツールについて理解を深めました。最終的には模擬NGSデータを用いた品質管理から前処理、統計解析、可視化までの一連の流れをハンズオンで体験し、個別サポートを受けながら実践的かつ密度の高い学習を行うことができました。
本研修を通じて得た最大の収穫は、「インフォマティクスをブラックボックスとして使うのではなく、原理を理解した上で自身の解析フローを組む」ことの重要性を体感できた点です。これまで市販ツールやオンラインサービスに頼りがちだったNGSデータの前処理・統計処理について、UNIXとRを組み合わせることで柔軟かつ再現性の高い解析が可能になることを実感しました。また、他の参加者(大学院生・ポスドク・技術職員など)との情報交換も有意義で、自身の研究に応用できる具体的なアイデアを複数得ることができました。
今後は、所属研究室で扱っているRNA-seqやChIP-seqデータに対して、本研修で学んだUNIXスクリプトによる前処理とRによる差的発現解析・可視化を積極的に取り入れ、解析の透明性と再現性を高めていく所存です。
(文責:機能ゲノミクス研究分野 鈴木隆介)

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