超高齢化社会になりつつある我が国においては,がんは死亡原因の第1位であり3人に1人はがんで死亡しています。がん医療は確実に進歩していますが,薬剤耐性など克服すべき課題は多く残されており,がん研究に対する社会的要請はますます大きくなっています。金沢大学がん進展制御研究所は,これらの社会的要請に応えるべく,全国の研究者からの,がん幹細胞・がん微小環境に焦点を当てた発がん・がん転移・薬剤耐性の病態に関わる共同研究,ならびに分子標的医療に関する共同研究を広く受け入れることで,「転移・薬剤耐性」の研究分野における中核的役割を果たすとともに,さらなる研究の進展を図ることといたしました。金沢大学がん進展制御研究所は,令和4年度からの6年間,文部科学省より「がんの転移・薬剤耐性に関わる先導的共同研究拠点」に再認定され,当拠点事業を推進すべく,下記のとおり,当研究所のバイオリソース・最新鋭設備等を利用し,当研究所教員との間で行う共同研究(国内共同研究,国際共同研究,異分野融合共同研究)を以下の要領で公募します。なお,令和7年度も引き続き,国内共同研究のうち,若手奨励研究を重点的に支援するとともに,女性研究者の支援も積極的に進めてまいりますので,奮ってご応募ください。
若手奨励研究
がん研究を担う若手研究者の育成・支援の取組として,若手奨励研究のための枠(20課題程度)を設けます(若手研究者とは,研究開始年度の4月1日現在において39歳以下の研究者を指します)。若手奨励研究採択課題に対しては,一般枠より若干の研究推進費を上乗せする予定ですので,積極的にご応募ください。
女性研究者支援
がん研究を担う女性研究者の育成・支援の取組として,女性研究者支援のための枠(10課題程度)を設けます。
異分野融合研究
本学では,平成29年度より世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)として,本研究所も参画した融合研究事業を進めています。プログラムでは,世界最先端のバイオSPM(走査型プローブ顕微鏡)技術と超分子化学技術を用いて,がんの悪性化に関係する分子・細胞動態の解明研究を展開します。この融合研究のさらなる発展に向け,バイオSPMに関連する共同研究の受付を行っております。また,これらに限らず,がん研究の発展を目的とした,異分野融合による共同研究の受付も行っております。
No | 項目 | 国内共同研究 | 国際共同研究 | 異分野融合型 共同研究 |
1 | 申請資格者 | 大学並びに公的研究機関に所属する教員・研究者 | ||
2 | 研究期間 | 令和7年4月1日~令和8年3月31日 | ||
3 | 申請方法 |
①対象研究テーマリストを参照し本研究所担当教員と事前に共同研究内容等について確認 ③申請書提出・国内共同研究申請書及び申請承諾書は「5.申請書提出先」にEmailで提出
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本研究所担当教員との共同申請 |
①がんに関する研究のうち,SPM(高速原子間力顕微鏡または走査型イオン伝導顕微鏡)技術を利用した研究又はその他異分野融合型の研究をテーマとする。 ④申請書提出 |
4 | 申請書提出期限 | 令和7年1月31日(金)必着 | 随時 | 随時 |
5 | 申請書提出先 | 〒920-1192 石川県金沢市角間町 金沢大学医薬保健系事務部薬学・がん研支援課 研究協力係 TEL: 076-264-6702 E-mail: kyoten@adm.kanazawa-u.ac.jp |
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6 | 選定 | 学外の学識経験者を含む共同研究専門委員会のよる審査 | ||
7 | 通知 | ①令和7年3月31日(月)までに申請者へ通知(予定) ②採択者には「金沢大学がん進展制御研究所共同研究員」として委嘱 |
随時 | 随時 |
8 | 採択件数 | 55件程度(内20件程度は若手奨励研究,10件程度は女性研究者支援) | 10件程度 | 5件程度 |
9 | 必要経費 | 共同研究に必要な経費(消耗品及び旅費)は,予算の範囲内において,当研究所で負担 ※旅費の支給額は本学職員旅費規程による |
研究所に数日間以上滞在して共同研究する際の旅費・滞在費・研究資金 | 旅費・滞在費 |
10 | 予算上限 | 40万円(※継続課題の場合,30万円) | 30万円 | 20万円(※継続課題の場合,10万円) |
11 | 成果報告書の提出 | 令和8年4月30日(木) ①指定様式有 ②記載方法等後日連絡 ③報告書は当研究所WEBサイト等にて公表予定 |
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12 | その他条件 | ①本共同研究の成果を論文として発表する場合には,謝辞として「金沢大学がん進展制御研究所における共同研究による」旨の文章を記載するとともに(英文では,” This work was partly supported by Extramural Collaborative Research Grant of Cancer Research Institute, Kanazawa University. ”あるいは“The research resources(facility) and technical advices were kindly provided by the Joint Usage / Research Program of Cancer Research Institute, Kanazawa University”などと記載)別刷り1部を「5.申請書提出先」へ提出要 | ||
②同一の研究代表者による継続課題は原則3年以内とする |
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③知的財産権の取扱いにつきましては,金沢大学共同研究取扱規程を準用 | ||||
④拠点が主催するシンポジウム・成果報告会にて発表(口頭またはポスター)を行うとともに,共同研究の成果を報告する | – | – |
No | 項目 | 国内共同研究 | 国際共同研究 | 異分野融合型 共同研究 |
13 | 本研究所利用 可能施設・設備 |
(1)共同研究資源・共同利用施設
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左記に加え,本学ナノ生命科学研究所のBio-SPM ①超解像AFM(FM-AFM 及び,3D-AFM) ②高速AFM ③走査型イオン伝導顕微鏡(SICM) ※これらは本研究所担当教員を通じて利用可能 |
対象研究テーマリスト
No | 氏名 | 対象研究テーマ | |
研究分野 | |||
1 | 平尾 敦 教授 | 幹細胞特性制御機構の解明とがん治療標的分子の探索 | がん研究に関連する異分野融合型共同研究 |
遺伝子・染色体構築研究分野 | |||
2 | 大島 正伸 教授 | マウスモデルおよびオルガノイドによる消化器がん研究 | |
腫瘍遺伝学研究分野 | |||
3 | 髙橋 智聡 教授 | がん細胞未分化性の代謝的基盤の探索 | |
腫瘍分子生物学研究分野 | |||
4 | 後藤 典子 教授 | 固形がんのがん幹細胞培養系を用いたがん悪性化の分子機構の解析 | |
分子病態研究分野 | |||
5 | 城村 由和 教授 | がん発症・悪性進展化における細胞老化に関する研究 | |
がん・老化生物学研究分野 | |||
6 | 鈴木 健之 教授 | がんの悪性化におけるエピジェネティック制御に関する研究 | |
機能ゲノミクス研究分野 | |||
7 | 平田 英周 教授 | 腫瘍微小環境に関する研究 | |
腫瘍細胞生物学研究分野 | |||
8 | 岡本 一男 教授 | がんの進展に関わる免疫細胞動態および骨組織環境の解析 | |
免疫環境ダイナミクス研究分野 | |||
9 | 谷口 博昭 教授 | がんの薬剤耐性等の診断マーカーおよびがんの革新的治療法の基盤開発 | |
先端がん治療研究分野 | |||
10 | 磯崎 英子 教授 | がんの進化における内因性免疫とゲノムの不安定性に関する研究 | |
ゲノム生物学研究分野 |
その他
各研究分野の目的,研究課題,最近の主な成果等については,以下を参照
https://ganken.cri.kanazawa-u.ac.jp/about/department/