教授
平尾 敦
Hirao Atsushi
助教
田所 優子
Tadokoro Yuko
助教
小林 昌彦
Kobayashi
Masahiko
助教
上野 将也
Ueno Masaya
特任助教
Mahmoud Ibrahim Shoulkamy Ibrahim(ナノ研籍)
幹細胞とは、各組織あるいは細胞の源となる細胞であり、多系統の細胞に分化する“多分化能”と幹細胞を再び作る“自己複製能”を持つ細胞と定義される細胞である。幹細胞プールが個体の生涯に亘って維持され続けるためには、自己複製能を適切に制御する必要がある。我々は、これまでFOXOやmTOR経路など、寿命制御に関わる分子が幹細胞の自己複製に重要な役割を果たしていることを明らかにしてきた。このことは、幹細胞制御における細胞内代謝の重要性を示唆するものである。さらに、最近、極端に偏った食生活によるストレスに対して、造血組織の恒常性を守る分子を特定した。このように、栄養関連シグナルが、幹細胞の運命決定に重要な役割を果たしていることを明らかにしてきた。
最近、幹細胞制御システムの破綻とがん化の関連について様々な観点から研究が進んでいる。また、がん組織における幹細胞特性(ステムネス)の獲得が、その悪性進展に深く関与していることも明らかになりつつある。正常幹細胞とがん幹細胞の共通および相違点を見極めることによって、がんの根治を目指した新たな治療法の開発に寄与できると考えられる。
図1 静止期造血幹細胞におけるmTORおよび FOXO経路
図2 治療耐性白血病幹細胞におけるFOXO活性化
図3 白血病幹細胞におけるmTOR複合体機能
図4 Spred1:高脂肪食負荷ストレスに抗して幹細胞を守る分子