組織・研究分野
先進がんモデル共同研究センター
Innovative Cancer Model Research Center

腫瘍遺伝学研究分野
Division of Genetics

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スタッフ

教授
大島 正伸
Oshima Masanobu

准教授
大島 浩子
Oshima Hiroko

助教
中山 瑞穂
Nakayama
Mizuho

准教授
VOON, Dominic Chih Cheng
新学術創成機構若手PI

助教
武田 はるな
Takeda, Haruna
卓越研究員

目的、研究課題、最近の主な成果

 当研究分野では、胃がん・大腸がん悪性化進展機構の解明を目的として、新規マウスモデルを開発して表現型を解析し、また、がん組織から樹立したオルガノイドを用いて、以下の項目について研究を展開している。

慢性炎症とTGF-β抑制による浸潤がん

 TGF-βは大腸がんのがん抑制経路として知られている。重要なことに、慢性腸炎を起こした粘膜においてTGF-βシグナルを遮断すると大腸に浸潤癌を形成した事から、炎症とTGF-β遮断の相互作用が粘膜下浸潤を誘導することを明らかにした(Oshima, et al, Cancer Res, 2015)。

自然免疫による微小環境形成

 炎症依存的に胃がんを発生するGan マウスモデルで、自然免疫反応に重要なMyD88 を欠損させると、炎症と胃がんの双方が抑制された。したがって、自然免疫反応が微小環境形成に重要と考えられた(Maeda, et al, Cancer Prev Res, 2016)。

変異型p53 の発現による大腸がん悪性化

 p53 遺伝子変異の75% はミスセンス型である。R270H 型の変異を持つp53 を腸管上皮細胞で発現させると、Wnt 活性化により発生した良性腫瘍の粘膜下浸潤を誘導することを明らかにした。また、p53 R270H の発現に依存したNF-κB やβ-catenin などの転写活性化が悪性化に関与すると考えられた(Nakayama, et al, Oncogene, 2017)。

ドライバー変異蓄積による悪性化機構

 大腸がん発生と悪性化に関与するドライバー遺伝子数種類を組み合わせで導入したマウスモデルを作製し、大腸がん細胞の悪性化形質や転移能獲得にはApc、Kras、Tgfbr2 変異の組み合わせが重要であることを明らかにした(Sakai, et al, Cancer Res, 2018)。

(図)ドライバー変異の蓄積と悪性化形質獲得

p53 の核内蓄積と、腫瘍オルガノイドの複雑な腺管構造形成誘導

(図1)
Apc 遺伝子変異マウスの腸管腫瘍で変異p53 R270H を発現させると、p53 の核内蓄積と、腫瘍オルガノイドの複雑な腺管構造形成誘導が見られる。

それぞれの変異に依存した悪性化形質の誘導

(図2)
さらに5種類のドライバー遺伝子変異を組み合わせで導入し、それぞれの変異に依存した悪性化形質の誘導が明らかになった。